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    北の「特別調査委員会」をどう見るか−東京連続集会80報告4

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      北の「特別調査委員会」をどう見るか−東京連続集会80報告4



      ★☆救う会全国協議会ニュース★☆

      (2014.07.25)

      ■北の「特別調査委員会」をどう見るか

      ◆偽の死亡確認書を出した保健省が拉致分科会に

      西岡 そしてもう少しこのペーパーに即して、彼らが何を出してくるかについて議論したいと思います。惠谷さんが作ってくれた特別調査委員会の構成は、「朝鮮中央通信」から取ったから人名が漢字になっています。分科会の並べ方も北朝鮮側の並べ方で、私が持ってきた政府の説明ペーパーとは違っていますが、どちらにしても拉致被害者分科会の中に保健省が入っています。

      4つの分科会がありますが、保健省が入っているのはここだけです。これを見た時に私は大変不吉な思いがしました。保健省というのは病院を管轄しています。やはり2002年の調査の時、死亡の根拠として出てきたものが8枚の死亡確認書でした。日本でいう死亡診断書です。死亡の日か次の日に医者がサインして発行する書類です。

      実はそれがおかしなものだったのです。めぐみさんのものだけは準備されていました。死亡確認書も別の物であり、死亡確認書にサインしたお医者さんも出てきて、首をつったという木もあり、患者死亡台帳も準備されていました。しかし、他の7人については口頭で、病気で死んだとか、交通事故で死んだとか言うだけで最初は何も書類を出さなかったのです。

      それで当時の調査団長だった斎木アジア局参事官が机を叩いて、「こんな説明で帰れるか。家族が待っているんだ。何か証拠を持ってきなさい」と言ったら、3時間くらいして7枚の死亡確認書のコピーを持ってきた。

      そして全部695病院となっていました。695病院というのはどこの病院ですか。

      惠谷 これは金正日政治軍事大学の構内にある病院で、このチャートで言うと、作戦部の管轄の病院です。

      西岡 平壌にあるんです。

      惠谷 車で25分か30分くらいあれば着きます。



      ◆2004年の死亡確認書は「慌てて作って間違えた」

      西岡 だから30分くらいで行って、2時間くらいでパアーッと作って、ゴム印を押したんです。北朝鮮は紙がない国なんです。7枚作らなければいけないのに、5枚しかなかったのか、あるいは2枚書き損じてしまったのか、ゴム印を押した紙しかなくなってコピーをコピーした。

      なぜ分かったかというと、ゴム印は手で押すでしょう。すかしてみると3枚が全く(2か所の)ゴム印の位置が同じなんです。ほかのものはちょっとずつずれていました。3枚は全く同じなんです。同じ日に作ったんです。2002年の10月1日に作ったんです。

      そういうことを指摘したら、2004年の再調査の時に、「慌てて作って間違えた」と北朝鮮が認めたんです。しかし例えば、市川修一さんの死亡確認書は、1979年の9月に海水浴で死んだとなっているんです。79年にタイムマシンで行って、慌てて作って帰ってきたのか。日付は79年と書いてあるんです。原本があるからコピーしてきたという説明だったのです。つまり捏造したわけです。国防委員会の指示で作られた特別調査委員会が。

      そして今回は、きちんとしたものを作れと言われているに違いないんです。私が最近入手した情報によると、2月に金正恩が統一戦線部に、「きちんとした死亡の証拠を作れ」と言った。すると「2か月くらいかかります」と言った。それで2か月経ってから局長級協議が本格化したのではないかと思います。この情報が正しければですが、まだ裏が取れていません。しかしそういう可能性もある。

      つまり、「元山の病院に確かにありました」と言って、紙も古いものをコピーしたものを準備しているかもしれない。日本側が、これはおかしいといっぱい書いていますから、それに合わせたものを保健省が調べたところ出てきたと言うために保健省を入れたのかもしれない。

      拉致をした調査部とか、統一戦線部、作戦部を入れないで、なぜ病院を管理している保健省を入れているのか。それも拉致文科会だけに。つまり、死亡としている人たちのことを調べる場所だけに入れている。行方不明分科会については、「いませんでした」と言えばいいわけですから、死亡の証拠を捏造する必要はないわけです。

      そう思っていたらまた不吉な情報を一つ見つけたんです。これは2012年6月15日の韓国の「朝鮮日報」の報道なんですが、韓国の拉致被害者代表の崔成龍(チェ・ソンヨン)氏が、「日韓の拉致被害者7人の死亡確認書の内容を書き写したとされる文書を入手した」と記者会見したというんですね。

      横田めぐみさんは2004年12月14日に死亡したと記載されていた、というんですが、「北朝鮮内部関係者が平壌にある保健省関係機関に保管されていたものを書き写したとしており」、となっています。保健省関係機関に2004年に死んだという書類があったということですね。

      「それを2012年に入手した」というんですが、2008年に一度再調査をしようとしたんです。その時に今回と同じように、当時の金正日が「死亡の証拠を作れ」と命令している可能性がある。そして保健省がそれを作った。あるいは、病院にはなかったけど保健省にあったということにした。そういうことを言うために作ったものが流出したのではないか。

      「朝鮮日報」は韓国の情報当局に真偽判定を要請したが、当局は「判定しにくい」ということで情報の真偽は確定していませんが、しかし保健省の関係機関に死亡確認書が保管されていると北の内部から情報が出てきています。

      そして2014年の特別調査委員会の拉致分科会だけに保健省が入ったということは事実です。不吉な思いがする、緊張させられる根拠の一つです。

      そういう目で、どの機関が入っているのかを見ると、最高検察所というのが拉致被害者の分科会に入っています。これは最高検察庁の上?。

      惠谷 最高検察庁の下にあります。形としては日本と同じですが、日本の検察庁のような権限は全くありません。

      西岡 なぜこれが入ったんでしょう。

      惠谷 私が推測するには、交通事故その他の案件を検察庁で承認したという形になるんじゃないかと思います。



      ◆住民登録台帳を調べても特定失踪者は出てこない

      西岡 なるほどね。そしてもう一つ重大な欠陥を指摘して、その後今後の見通しで議論したいと思います。

      「特別調査委員会の説明概要」の裏側で、「各分科会の活動」で行方不明者の分科会について、「日本側からの資料等も参照しつつ、人民保安部の住民登録台帳の精査を含め、北朝鮮への入境の如何、行方不明者の現状等について状況を確認する」と書いてあります。

      これではほとんどの特定失踪者は見捨てられます。行方不明の分科会の責任者は、朴永植(パク・ヨンシク)という人民保安部局長です。彼は特別調査委員会の副委員長を兼任しています。

      人民保安部というのは一般警察です。そして、(外務省の)伊原局長の我々に対する説明によると、朴永植人民保安部局長は戸籍の専門家だということです。北朝鮮では戸籍はありませんから、住民登録台帳のことです。だから住民登録台帳で調べると言っているんです。

      では住民登録台帳とはどういうものなのか。北朝鮮の人はみんな公民証というIDカードを持っています。その公民証を発行する時に作るのが住民登録台帳です。

      そして平壌市民210万人の2004年段階での住民登録台帳が海外に流失しています。実は救う会もその台帳が入ったUSBを持っています。その台帳はエクセルに入っていて、名前とか日本名とか色々あるんですが、そこに「民族」という欄があって、民族という欄を日本人でソートをかけると210万人の内85人出てきます。

      その85人の中に拉致被害者がいると言われて高く買わないかとずいぶん言われました。それで2010年に買いに行きました。そしてその85人を特定失踪者の生年月日などで比べてみたんです。日本名がある人も何人かいましたが、ほとんど朝鮮名でしたが、その中には拉致被害者の名前はなかった。



      ◆平壌市住民登録台帳の85人はほとんど日本人妻

      特定失踪者の公開の方と生年月日が一致する人は一人もいませんでした。逆に、1959年から60年代にかけて多数の日本人が在日朝鮮人と一緒に北朝鮮に渡ったわけですが、いわゆる日本人妻の人たちの名前がどんどん出てきました。

      そこで平田事務局長と一緒に、日本人妻の支援をしている日本国内の団体のところに行ってその名簿を見てもらったところ、「この人も知っている、この人も知っている。この住所は正しい」と確認してくださいまして、まずその210万人のリスト自体は本物だと分かりました。しかし、そこには拉致被害者は入っていない。

      ただ、曽我ひとみさんだけは入っていました。夫がジェンキンスさんだということで分かりました。これはどういうことか。一般社会に出ている人は、公民証の登録をしますから住民登録台帳に入るわけです。

      しかし、軍隊に入ったら一般社会の公民証ではなくなりますので住民登録から削除されます。軍の登録になります。工作機関に入っても同じように削除されます。基本的に住民登録台帳を調べても、工作機関の中で管理されている人は出てこないんです。

      余談ですが、「週刊朝鮮」の報道によると、めぐみさんと生年月日が一致し、そして娘の名前が一致し、夫の名前も一致する女性が二人出てきたんですね。しかし、血液型が違っているんですが、住所が分かるものですから、そこを調べたところ、そういう人が住んでいた形跡はありませんでした。娘のウンギョンさんを金日成総合大学に入れるためには、ウンギョンさんの住民登録が必要で、それで母親の住民登録を住んでいない住所で作ったのかなあと想像しています。

      それでも2004年前めぐみさんが生きていなければ、母親の所は死亡と書けばよかったのにそれをしなかったのは生きていたという証拠ではないかとは思っています。しかし、基本的には工作機関の中にいる人は、(住民登録台帳には)出てこないんです。

      従って、行方不明者の分科会で、「日本側の資料も参照しつつ」、つまり、860人ならその資料を住民登録台帳で民族は日本人で引いて、生年月日で合わせたら多分ゼロということになると思います。

      もしかしたら、曽我さんと同じように、工作機関では使われなくて一般社会にいる人が出てくるかもしれません。そしてそれで終わりにしようとしているのかもしれません。

      一般社会にいる人は秘密を知りません。出しやすい人です。もちろん日本政府も、この北朝鮮の説明はおかしいということに気づいていて、「今回の日朝協議では北朝鮮の説明を聞いてきて制裁を解除するかどうか判断するためだから議論をする場ではなかった」という説明でしたが、それでもこれだけでは困るとの立場で問題提起したと言っていました。

      「特定失踪者の中には拉致が濃厚な人もいるのだから、一般の行方不明者ではなくて、拉致被害者として調査してほしいということを申し入れました」と言っていました。

      各分科会の活動については、「今後日本側と協議しながら修正していくこともあり得る」と日本側の概要には書いてあります。北朝鮮の「中央通信」はこの部分を報道していませんが、今後どのような展開になるのかということも注目されることです。



      ◆認定被害者12人についてもう一回何か出してくる

      西岡 ずっと否定的なことを言ってきました。しかし、肯定できることが一つだけあります。それは、「各分科会の活動」の「拉致被害者」ところで、「日本政府が認定している拉致被害者について改めて調査し、それぞれの被害者について入境からの経緯を調査し、確認すると明記されたことです。

      特定失踪者の調査だけで何人かの人が出てきて終わりということにはならない。認定被害者12人についてもう一回何か出すことを約束した。この約束と朝鮮総連幹部の自由往来を取引したのであれば、ぎりぎり許容範囲かなあと思います。

      そしてこの約束で出してくるものが、もう一度保健省などを使った死亡の証拠の捏造であればまた制裁をかければいいわけです。安倍総理は、「読売新聞」とのインタビューで、明確に、「北朝鮮にかけている制裁は、被害者を取り戻すためのものであって、今回は制裁を解除するということで北朝鮮を動かしたんだ」と言っています。

      また、「制裁というのは可逆性があり、戻せる。人道支援だったら取られて終わりだが、制裁の解除はまたかけることもできる」と言っています。制裁にはそういう効果もあるんだ、と。

      伊原局長等は、「今北朝鮮と外交交渉をしているんだから北朝鮮が変なことをしてきたら制裁をかけ直すということは言わない方がいい」と、外交官ですから曖昧な言い方しかしないんですが、総理は「読売新聞」とのインタビューで、明確に、「人道支援なら取られっぱなしになるけど制裁は戻すこともできます。それが制裁の効果です」と言っていましたので、何か12人について出させるという約束を取ったということが、評価できるといえば評価できる。

      (5につづく)

       

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