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    核・ミサイルと切り離して全被害者救出を先行させよ−特別集会報告2

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      ★☆救う会全国協議会ニュース★☆

      (2016.10.25)

       

      核・ミサイルと切り離して全被害者救出を先行させよ

       

      −特別集会報告2


      櫻井 ありがとうございました。今西岡さんのお話を伺っていても、やはり日本が国として国民を、十代の女の子や少年たち、青年たちを他国の国家権力に拉致されて、30年も40年も救うことができないないという事実に、これは本当のありかただろうかとみんなが考えるわけです。

      その間に北朝鮮は、恵谷さんから詳しい話が出ると思いますが、着々と金日成、金正日の時代から、この国際社会の中で韓国を圧倒し生き残っていく方法というものを考えて、核・ミサイルの実戦配備まで彼らはとうとうきてしまった。

      ここで、ある意味ゲームチェンジというくらいの大きな変化が起きていて、だからこそ西岡さんも新たな局面に入ったと言っているわけです。その時に、日本を囲む国際状況は信じられないくらいに大きく変わっているわけです。

      今アメリカの大統領選挙を見てもそのことを感じますし、隣国の中国を見てもそのことを感じますし、その中国が水面下で北朝鮮を支援し続けている。これは国際社会で明らかなことです。そしてこうしたことについて、国際社会もわが国も有効な手が打てないでいる。

      こうした中で国としてどうやったらいいのかを考えなければいけないわけで、国家としてわが国が何を欠落させているのかについての根本的な認識をもとに、対策を考えていかなければ解決の狭い道を歩むのも非常に厳しいものが出てくるわけです。

      恵谷さんには、北朝鮮の軍事力が及ぼす新たな変化について、非常に厳しいものがありますが、なるべく具体的にお話いただければと思います。


      ◆北朝鮮の核兵器化は完成に近づいている

      恵谷治(ジャーナリスト)

      北朝鮮の核開発とミサイル開発について報告します。

      ご承知のように、北朝鮮は過去10年間で5回の核実験を実施しました。特に今年9月9日の、5回目の核実験は、それまでと全く違う様相の実験だったと私は思っています。

      配布資料には「戦略的核武力建設構想」とありますが、これは北朝鮮が初めて表明した表現です。つまり彼らにはこの「建設構想」があるということです。この「建設構想」についてはもちろん北朝鮮は発表していませんが、核戦力の究極の目標は、原子力潜水艦に核ミサイルを搭載することです。これは軍事関係者には当たり前のことです。

      北朝鮮はそれに向けて、ある判断ではまだまだ先とも言えますが、徐々に徐々にそこに至る状況です。彼らがそこに至ったというくらいの状況です。というのはミサイルに搭載できる程小型化、軽量化はできていませんでした。

      しかしこの9月9日の北朝鮮の発表では「核弾頭化に成功した」と言っています。仮にこれがプロパガンダで、まだブラフ(威嚇)だとしても、もう25年くらい核弾頭の小型化を目指してきた北朝鮮に関しては、完成は目の前、あるいは既に完成していると考えるべきだと思います。

      一方核弾頭を積む原子力潜水艦ですが、これは新浦というところで建設しているのではないかと私は推定しています。偵察衛星も含めて、外観からは内部にディーゼルエンジンを積んでいるのか、原子炉を積んでいるのかが分かりません。

      しかしおそらく原子炉を積んだ潜水艦を現在建設しているのではないか。ただこれがうまくいくかどうかはまた別問題です。

      加えて、軍事的に言えば、北朝鮮のレベルであれば、その潜水艦が完成して海底を航行しても、海上自衛隊、アメリカ海軍は120%探知できます。

      問題は探知できるかどうかではなく、北朝鮮が原子力潜水艦に核ミサイルを積むことによって、アメリカとの交渉において、核保有国宣言は誰も否定できなくなる。ここが一番のポイントで、現実的に作戦配備されれば、さほどの脅威ではないと私は思いますが、政治的には全く様相が異なります。

      その意味でこの5回目は「核兵器研究所」というのが初めて登場しました。この研究所の名義で5回目の核実験の公式声明が発表されました。4回目は政府声明でした。3回目と2回目は「朝鮮中央通信」の報道で、主体が不明でした。しかし、4回目は政府声明で、「水爆」と報道されましたが、北朝鮮は「小型化された水素弾」と発表しました。

      この「小型化」が問題です。水素弾を水爆と訳してもいいんですが、水爆というのは核爆弾を起爆としたもので装置自体が大きくなります。それを小型化するというのは、核爆弾に水爆の原料を少し加えて威力を強化したもので、いわゆる「ブースト型」あるいは「強化原爆」です。

      中国もロシアもアメリカも、現代の原爆というのは水爆の材料をプラスしています。それによって威力を強化させる。通常のことです。それを北朝鮮はやっと4回目に世界のトレンドであるブースト型の実験をしたわけです。

      しかし爆発威力の数字をみたらお分かりと思いますが、4回目は前回よりも威力が低下しています。つまり彼らが言う「水素弾」、我々が言う「ブースト型」原爆は失敗したと思っています。

      ところが5回目は、威力だけでいえば過去最高です。報道でも聞かれたと思います。しかも、まだ確認はとれませんが、ミサイルに積める状況に至っているのではないかと思います。

      ということは、彼らの「戦略的核武力建設構想」にどんどん近づいているというのが現状です。


      ◆北朝鮮の核・ミサイルが米西海岸まで届くことに

      ミサイルに関しては、今年23発も発射しているんですが、とにかく驚くほどの発展ぶりで、アメリカの東海岸、ワシントン、ニューヨークに届く能力はまだありませんが、サンフランシスコ・ロサンゼルスの西海岸まで届くものを作りました。このテポドンは朝鮮では「銀河」「光明星」等と呼ばれています。

      アメリカに届く能力があるミサイルの先端に、5回目の核実験で成功させた核弾頭を積めばアメリカを攻撃できる。ということは当然日本も韓国も核攻撃できることになりつつあるか、あるいはもうなっていると考える必要があります。

      ではどうすればいいのか。現在イージス艦から発射するもの、あるいはPAC3がニュースに出ます。しかし、今後の核・ミサイル攻撃を考える場合、100%落とす必要があります。

      そうすると増強の選択肢の中で、皆さんもニュースでご存じのサード(THAAD)という現在韓国に配備が決定したもの、まだ配備はされていませんが、これを日本の航空自衛隊に配備すべきだと思います。韓国では在韓米軍に配備されます。

      今後このサードを日本に8基、いや6基導入すれば、北海道から九州まで日本全土を守ることができます。この防衛システムに皆さんの関心が集まるようお願いできればと思います。

      櫻井 恵谷さん、6基と言われましたが、沖縄はどうなりますか。

      恵谷 南西諸島までサードで守るのはコストパフォーマンス上どうかと思いました。

      櫻井 沖縄の人が怒るのでは。

      恵谷 沖縄にはPAC3がありますから。

      櫻井 分かりました。ありがとうございました。では島田さん、アメリカでもスネドンさんの件など、日本側から情報提供してアメリカの議員の方々の認識を深めたという事例もあります。今回北朝鮮の核・ミサイルが西海岸に届くことが現実になってきたわけです。そういう事情を踏まえてアメリカでの事情をお伝えください。

       

       

      ◆アメリカが北朝鮮と取引する中国企業に制裁

      島田洋一(救う会副会長・福井県立大学教授)

      最近の新たな動きをいくつか紹介したいと思います。

      今から1か月弱前、9月26日に、アメリカ政府、具体的には財務省が中国の鴻祥実業発展有限公司及び経営幹部4人に対して、経済制裁を発動しました。今年2月に米議会で北朝鮮制裁法が通り、オバマ大統領もサインして、法律として制定されました。中国の企業に対する制裁が可能になりました。そして初めて本格的に発動したケースです。

      この企業は中朝国境の丹東の企業ですが、ウラン濃縮に使われる遠心分離機のための酸化アルミニウムとかバッテリー等を北朝鮮に輸出していた。これは今年3月にできた国連制裁決議2270号に違反するという認定をアメリカ政府がしたわけです。

      中国側もこのケースについては、アメリカ側が相当証拠を集めて提示したので言い訳ができずに、今年8月に女性経営者44歳を逮捕して、中国当局が調べているという報道がありました。

      北朝鮮の跋扈を許してきた最大の癌が中国共産党であることは明らかなわけで、それは北朝鮮に対する食糧支援や難民の強制送還をしてきたわけです。

      今回は中国が取り調べているということで、極めて怪しい面があるんですが、中国政府の息のかかった企業であることは間違いないですし、またアメリカ側の調査によれば、金正恩を殺害する映画を作ったソニーピクチャーズへのハッカー攻撃も、鴻祥実業が持っている建物のツーフロアーを北朝鮮のサイバー部隊が借りているらしいです。そしてそこから攻撃が行われていた。これはアメリカに対する攻撃をこの企業が行っていたということで、米財務省が制裁に踏み切った理由の一つのようです。

      気になるニュースによると、北京政府と瀋陽軍区の間に対立があって、「瀋陽軍区は北朝鮮と組んで北京を核攻撃することまで考えている。だから北京政府としては、北朝鮮をつぶさないといけない。鴻祥実業も瀋陽軍区と関係が深いので北京は本気になってつぶそうとしている」という報道です。

      しかしこれは北京が意図的に流したもので、それだけ北京は本気でつぶしにかかっていると思わせるために流している偽情報の可能性がありますので信用できないのですが、そういう情報もあります。

      今後とも、中国企業に対する制裁を連続的に発動していかなければならないし、この企業に関しては取引銀行が丹東銀行だと指摘されています。これは地方銀行ですので、その上に親銀行がある筈で、そこにしっかり制裁をかけるべきです。とかげのしっぽ切りの対応を許してはいけないと思います。

      私は数か月前に、ワシントンでボブ・コーカー米上院外交委員長のアジア担当スタッフと話した時に、その人は中国側に圧力をかけるために、まさに直前に丹東に視察に行っていたんですが、このスタッフも、「とかげのしっぽ切り的な小さな銀行への制裁で終わらせてはいけない。大本の銀行、前から言われているバンク・オブ・チャイナへの本格的な制裁が必要だ」と言っていました。

      これは今後ともポイントになると思います。


      ◆北朝鮮に核・ミサイル開発で支援する外国には支援しない

      また、イランと北朝鮮のコネクションが極めて重要です。核・ミサイル開発を彼らは一緒にやってきたわけですが、オバマ政権がイランとの極めて中途半端な核合意を結んだことで、またこの合意がうまくいっているんだと見せるために、アメリカが凍結したイランの資金などを戻す制裁解除をどんどんやっていますが、そういうお金がミサイル購入資金の形で北朝鮮に渡らないように監視しなければならない。

      日本もイランに経済支援などをする場合には、北朝鮮との関係がもし明らかになったら日本は一切支援しませんよと言わなければいけないと思います。

      安倍さんが先月、イランのロウハニ大統領と会った場で、北朝鮮との関係はしっかりと切ってくれとクギをさしたと聞いていますが、そういうメッセージを今後とも出すべきです。北朝鮮との関係が発覚すれば経済的打撃をイランに与える行動が必要ではないかと思います。

      さらに韓国が迎撃ミサイルサード(THAAD)を配備することを中国が非常に嫌がっていますが、やはり中国が嫌がることをどんどんしていかなければならないわけです。北の核開発を中国が許している限り、中国にとって痛いことを周りの国がしますよ、と。

      日本も、懲罰的抑止力をきちんと整えていくべきだと思います。実は一昨日櫻井さんが主宰しておられる国家基本問題研究所に、陸上自衛隊の有力OBを招いて勉強会をしました。

      そのOBの方が、開発されている兵器として、マッハ10くらいのスピードで落ちていく通常弾頭ですが、隕石が落ちたのと同じくらいの効果があって、核兵器ではないのですがものすごい打撃を相手の指令系統中枢に与える兵器の話をしました。

      日本は非核3原則があるのでそれを前提にした上で、核に頼らずに懲罰できる兵器を北京等に示す場合に隕石的な兵器が一つポイントになると思います。


      ◆米下院で米人拉致被害者調査を決議

      国連で北朝鮮に対する報告書をまとめたオーストラリアのカービーさんは、北朝鮮人権問題をラーフワークにしている立派な方です。この方の存在は拉致問題にとっても重要な資産だと思います。

      彼が三日前に日本で記者会見して、いくつか提案しています。

      一つは、途上国世界における民主主義大国に対して、北朝鮮は人類にとっての脅威だから、地域代表としてもっと積極的に動くように圧力を加えるべきだと言っています。具体的な国名としてはインド、インドネシア、南アフリカを挙げています。

      こういう国は周りの小さな国々との経済関係がもちろんありますから、そういう国々が「北朝鮮との関係を切れ」と周辺諸国に言ってくれるなら、効果がある、と。

      さっき櫻井さんが言われたスネドンさんのケースですが、デヴィド・スネドン氏は2004年8月に中国の雲南省で失踪しました。北朝鮮難民を助けているという疑いをもたれて北朝鮮の工作員に拉致されたのではないかと私も思っています。

      そのスネドン氏のケースについて、真剣にアメリカ政府が調べろという決議案が先月下院で通りました。その決議を提出したクリス・スチュワート議員が12月に日本の人権週間に来日することが決まったと古屋圭司議員から聞きました。また、スネドン氏の長兄マイケル・スネドン氏も来られるということです。この機会をアメリカの世論喚起にも是非利用したいと思います。

      最後に、2006年3月に、デヴィド・スネドン氏と似たようなアメリカ人の失踪事例がある。家族がスネドン家と接触して、自分たちの息子も拉致じゃないか、と。家族の意向で、現段階では実名は言えないんですが、やはりスネドン氏と同じ雲南省の虎跳峡(こちょうきょう)という景勝地の崖を訪れて、その後ラオスに入って失踪しています。

      このケースも日本の拉致問題と同じように、最初の拉致のケースの時日本政府が全く対応しなかったわけで、そのせいで横田めぐみさん拉致も起こってしまった。あの前の段階で政府が対応していればめぐみさんは拉致されずにすんだかもしれないわけです。

      アメリカでもスネドンさんのケースを米国政府が見逃したせいで、その1年半後に類似のケースが起こったのかもしれません。そういうことも含め、アメリカ側との連携をさらに深めたいと思います。

      (3につづく)

       


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